天才画家に描かれて、毎晩とろけそうです ―スイートルームで始まる、芸術と恋の独占契約
朝の光が、スイートルームの重たいカーテン越しに滲んでいる。

絵を描き終えた夜の余韻がまだ部屋に漂っていて、咲良はバスローブ姿のまま、ゆっくりとソファに腰を下ろした。

レオンはキッチンの奥で、片手でカフェオレを淹れている。
動きは不器用だけど、どこか優雅だった。

窓辺のテーブルの上。
無造作に置かれた黒い小箱が、ふと視界に入った。

(……アクセサリーケース?)

何気なく手を伸ばしかけて、すぐにやめた。

レオンの私物かもしれない。そう思ったのに──視線だけが離れなかった。

「……それ、見つけた?」

気づけば、レオンがすぐそばに立っていた。

金の髪が朝日を受けてきらめき、薄く笑ったその横顔は、まるで夢から抜け出してきた王子のようだった。

「開けてみて。君のものだから」

咲良は一瞬戸惑ったが、そっと箱のふたを開けた。

そこには、虹のようにきらめくピンクダイヤのネックレス。

粒は小さいのに、目を奪われるような光を放っている。
可憐で、やさしくて、どこか儚くて──でも明らかに最高級の輝き。

「……なに、これ」

「君を描いていたとき、頭に浮かんだんだ。
 この色、このかたち。君の線の余韻みたいだと思った」

レオンは言葉を選ぶように、ゆっくりと語った。

「だから、君に持っていてほしかった」

咲良はネックレスを手のひらにのせたまま、何も言えなかった。

胸の奥が、また新しい色で満たされていく。
それが嬉しいのか、こわいのか、自分でもわからなかった。
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