天才画家に描かれて、毎晩とろけそうです ―スイートルームで始まる、芸術と恋の独占契約
昼の光が、分厚いカーテンの隙間から差し込んでいた。

レオンは咲良の隣で、目を閉じていた。

無造作に広がる金の巻き毛が枕にほどけ、
長い睫毛が頬に影を落としている。

(……こんなに綺麗な顔、あるんだ)

思わず目を奪われた。

ふと、胸元に視線を落とす。
ピンクダイヤのネックレスが、光を受けて淡く輝いていた。

その瞬間、レオンがゆっくりと目を開ける。

「……咲良」

声は低くて、少しかすれていて、どこまでもやさしかった。

咲良は、言葉に詰まりながら、こくんとうなずいた。

レオンは上半身を起こすと、無言のまま手を伸ばし──咲良の鎖骨のラインを、そっと指先でなぞった。

ネックレスのチェーンをかすめて、肩へ、腕へ。

なにも言わずに、ただ線を引くように、ゆっくりと。

(……また、描かれてる)

声はないのに、
その指先が語るすべてが、咲良の胸にしみ込んでいった。

「君を描いた昨日より、
 こうしてそばにいる今日の君のほうが、もっと綺麗だよ」

その囁きに、咲良は胸の奥がじんとした。

──まだ、言えない。

「好き」とはまだ、言葉にならない。

けれど今は、それでもいい気がした。
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