天才画家に描かれて、毎晩とろけそうです ―スイートルームで始まる、芸術と恋の独占契約
第5話 パリ、雨の日
パリの空は、東京よりも少し高く感じた。
シャルル・ド・ゴール空港に降り立ったとき、咲良は深く息を吸い込んだ。
冷たい空気が肺を満たす。けれど不思議と、怖さはなかった。
手にはスーツケース。
胸元には、あのネックレス。
「レオンに……会いたい」
理由も、資格も、よくわからないままに。
ただその気持ちだけが、咲良をここまで連れてきた。
ホテルにチェックインしたあと、咲良はスマホ片手に街へ出た。
頼れるのは、レオンのSNSに上がっていた1枚の写真だけ。
──エッフェル塔の夜景。
──手前に石畳。
──そして、右手奥に見える小さなブティックの看板。
その断片的な情報だけを頼りに、咲良は何度も通りを曲がり、
人に訊きながら、少しずつ写真の場所に近づいていく。
(このあたり、きっと近い……)
パリの石造りの街並みは、どこも似ていた。
でも、彼の気配を探すように、咲良はひたすら歩き続けた。
やがて、夜が深まりはじめたころ。
ふと横を通った小さな路地裏で、咲良の足が止まった。
(……なにか、ある)
それは説明できない直感だった。
でも、レオンの絵を何度も見てきた咲良には、わかる。
この奥に、彼の線がある気がした。
咲良は、誰もいない細い通りへと、一歩踏み出した。
シャルル・ド・ゴール空港に降り立ったとき、咲良は深く息を吸い込んだ。
冷たい空気が肺を満たす。けれど不思議と、怖さはなかった。
手にはスーツケース。
胸元には、あのネックレス。
「レオンに……会いたい」
理由も、資格も、よくわからないままに。
ただその気持ちだけが、咲良をここまで連れてきた。
ホテルにチェックインしたあと、咲良はスマホ片手に街へ出た。
頼れるのは、レオンのSNSに上がっていた1枚の写真だけ。
──エッフェル塔の夜景。
──手前に石畳。
──そして、右手奥に見える小さなブティックの看板。
その断片的な情報だけを頼りに、咲良は何度も通りを曲がり、
人に訊きながら、少しずつ写真の場所に近づいていく。
(このあたり、きっと近い……)
パリの石造りの街並みは、どこも似ていた。
でも、彼の気配を探すように、咲良はひたすら歩き続けた。
やがて、夜が深まりはじめたころ。
ふと横を通った小さな路地裏で、咲良の足が止まった。
(……なにか、ある)
それは説明できない直感だった。
でも、レオンの絵を何度も見てきた咲良には、わかる。
この奥に、彼の線がある気がした。
咲良は、誰もいない細い通りへと、一歩踏み出した。