天才画家に描かれて、毎晩とろけそうです ―スイートルームで始まる、芸術と恋の独占契約
「なんでも、って言ったよね?」

その言葉に、咲良の背筋がぞわりと凍った。

「ま、待って、今のはその、勢いで……!」

「タクシー、呼んでくれる?」

男は痛む腕をかばいながら、微笑を浮かべる。
まるで“この先に何があるのか”を知っているような目をしていた。

「……とりあえず、病院行こうね。ね!」

咲良は半ばパニックになりながらも、スマホを取り出してタクシーを呼んだ。
罪悪感、焦り、そして少しの不安がごちゃ混ぜになって胸の中で渦巻く。


*

到着したタクシーに乗り込み、向かったのは都内でも有名な5つ星ホテルだった。

咲良はフロント前で立ち尽くす。

「え、ちょ、ここ!?」

「うん。いつも泊まってる場所。病院は後。先に必要なのは……」

「なに?」

レオンは振り返り、いたずらっぽく微笑んだ。

「君の身体を、ちゃんと見せてもらうことだ」

「……え?」

頭が真っ白になった。

エレベーターに乗せられ、最上階のスイートルームへ。
開かれた扉の先には、まるで映画のセットのような空間が広がっていた。

厚手の絨毯。高い天井。
そして部屋の奥には、大きな白いキャンバス。

「ここで描くんだ」

「え、ちょっと待って、描くって……?」

レオンはソファに腰を下ろし、咲良をまっすぐ見つめた。

「ヌードモデルになって。今夜だけでいいから」

「…………なに、言ってんの……?」

声がかすれる。

でも、咲良の中のどこかが、ずっと前から予感していた気がした。

「なんでもする」って、言ってしまった。

──自分の身体を、絵にされる。

それがどういうことかなんて、考える間もなかった。

ただ、レオンの瞳はまるで、彼女という人間そのものを描きたがっているようで。

そして咲良は、言ってしまった。

「……一晩だけ、だよ」
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