幸せのお裾分け
昼休みの休憩室。
テーブルを挟んで、千歳は自分の弁当箱のフタを静かに開けた。
対面に座った彩人は、コンビニの袋から取り出したおにぎりを手に持ち、包みを破りながら言った。
「いただきまーす」
のんびりとした声とともに、彩人はぱくっと一口。
梅の酸味が効いたのか、「んー、やっぱうまいな」と小さく唸る。
そんな彩人が、ちらりと千歳の弁当に目をやる。
「……また手作り?ってことは今日のも?」
「ああ」
「葉月ちゃん?」
「うん」
「毎日、持ってきてもらってんの?」
「毎朝、駅の改札口で待ち合わせしてて。そこで渡してくれる」
「……それ、もう完全に“愛されてる男”コースじゃん」
「食べ終わったら、洗って返す。で、翌朝また受け取る。それだけ」
「それだけ、って。もはや超ラブラブじゃん……」
千歳は表情を変えずに箸を進めていたが、口元がうっすら緩んでいるのを彩人は見逃さない。
「さっきからさ、顔ゆるんでるんだよ。今日の卵焼き、そんなにうまいの?」
「……ばれてたか」
「ばればれ。最近の千歳、ずーっと“幸せ”の顔してる」
ちょうどそのとき、千歳のスマホが軽く震えた。
画面をのぞきこむと、葉月から連絡が。
『千歳くん、ちょっと相談があります』
『弥生さんが、合コンのときの彩人くんとまたご飯できたら嬉しいって言ってて……』
『近いうちに、4人で食事できるようにセッティングできますか?』
千歳は一瞬だけ考え、スマホを置く。
「この前の合コン、覚えてるか?」
「うん?葉月ちゃんと出会ったやつでしょ?」
「弥生ちゃんのこと、覚えてる?」
「あー、うん。落ち着いた雰囲気でキレイめの人」
「その弥生ちゃんが、おまえとまた会えたらって言ってるらしい。
それで、俺と葉月ちゃん。お前と弥生ちゃんの4人で食事出来ないかって。」
「……マジで?」
彩人は手に持ったおにぎりを見つめて、ぽつりとつぶやいた。
「……俺のこと、好きなのかな?」
「さあな。でも、少なくとも興味はあるんだろ」
「へぇ……」
おにぎりの残りを食べ終えた彩人は、ふっと口元をゆるめた。
「……俺は大丈夫。来週の金曜の夜とか、空いてる」
「了解。伝えとく」
千歳がスマホに打ち込んだ短い返事が、すっと送信される。
『脈アリっぽいよ。来週の金曜日どう?』
そのときの千歳の指先には、かすかな余裕と、ほんの少しのいたずらっぽさが漂っていた。
テーブルを挟んで、千歳は自分の弁当箱のフタを静かに開けた。
対面に座った彩人は、コンビニの袋から取り出したおにぎりを手に持ち、包みを破りながら言った。
「いただきまーす」
のんびりとした声とともに、彩人はぱくっと一口。
梅の酸味が効いたのか、「んー、やっぱうまいな」と小さく唸る。
そんな彩人が、ちらりと千歳の弁当に目をやる。
「……また手作り?ってことは今日のも?」
「ああ」
「葉月ちゃん?」
「うん」
「毎日、持ってきてもらってんの?」
「毎朝、駅の改札口で待ち合わせしてて。そこで渡してくれる」
「……それ、もう完全に“愛されてる男”コースじゃん」
「食べ終わったら、洗って返す。で、翌朝また受け取る。それだけ」
「それだけ、って。もはや超ラブラブじゃん……」
千歳は表情を変えずに箸を進めていたが、口元がうっすら緩んでいるのを彩人は見逃さない。
「さっきからさ、顔ゆるんでるんだよ。今日の卵焼き、そんなにうまいの?」
「……ばれてたか」
「ばればれ。最近の千歳、ずーっと“幸せ”の顔してる」
ちょうどそのとき、千歳のスマホが軽く震えた。
画面をのぞきこむと、葉月から連絡が。
『千歳くん、ちょっと相談があります』
『弥生さんが、合コンのときの彩人くんとまたご飯できたら嬉しいって言ってて……』
『近いうちに、4人で食事できるようにセッティングできますか?』
千歳は一瞬だけ考え、スマホを置く。
「この前の合コン、覚えてるか?」
「うん?葉月ちゃんと出会ったやつでしょ?」
「弥生ちゃんのこと、覚えてる?」
「あー、うん。落ち着いた雰囲気でキレイめの人」
「その弥生ちゃんが、おまえとまた会えたらって言ってるらしい。
それで、俺と葉月ちゃん。お前と弥生ちゃんの4人で食事出来ないかって。」
「……マジで?」
彩人は手に持ったおにぎりを見つめて、ぽつりとつぶやいた。
「……俺のこと、好きなのかな?」
「さあな。でも、少なくとも興味はあるんだろ」
「へぇ……」
おにぎりの残りを食べ終えた彩人は、ふっと口元をゆるめた。
「……俺は大丈夫。来週の金曜の夜とか、空いてる」
「了解。伝えとく」
千歳がスマホに打ち込んだ短い返事が、すっと送信される。
『脈アリっぽいよ。来週の金曜日どう?』
そのときの千歳の指先には、かすかな余裕と、ほんの少しのいたずらっぽさが漂っていた。