幸せのお裾分け
スマホが震えた。慌てて取り出すと、すぐに千歳くんからの返信が。
『脈アリっぽいよ。来週の金曜日どう?』
「……弥生さん、来週の金曜、大丈夫ですか?」
「えっ、え?もう返事きたの?」
「はい。“脈アリっぽいよ”って」
弥生さんは目をぱちくりさせ、そしてゆっくり、ほんのり赤くなった。
「や、やば……キャー……」
コーヒーカップを両手で持ち、顔をそっと隠す。
その仕草があまりに可愛くて、私は思わず笑ってしまう。
「見ないで〜……ちょっと、照れる……」
私はスマホにもう一度視線を落とし、弥生さんに向かってこう言った。
「じゃあ、“先輩、大丈夫だそうです”って送っておきますね」
数分後、千歳くんからの返事が届く。
『楽しみにしてる。お店と時間決まったら連絡するね』
『葉月ちゃんも楽しみにしてる?』
私は「……うん」と心の中で返事してから、指を動かす。
『私も楽しみにしてます』
そして届いた、もう一通の甘すぎるメッセージ。
『その日は俺ん家にお泊まりしようね』
「……っ」
スマホを持つ手が、すうっと熱くなる。
画面をそっと見つめていた私に、弥生さんが興味津々で覗きこんでくる。
「なになに、今度は何?」
私は観念してスマホをそっと見せた。
「ええええええ……!!」
「ひゃあ……ほんとに……ラブラブだねぇ……」
カップでまた顔を隠して、耳まで真っ赤な弥生さん。
私は、その横顔を見つめながら、心の中でふと思った。
“こんなふうに、誰かの勇気になれる恋って、素敵だな”


