【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
小泉の掛け声で、再び立ち上がる雪乃。
ふくらはぎの重たさを感じながら、一歩を踏み出す。
「じゃあ、次はバイクマシン、いきましょうか」
「……はい」
正直、気が進まない。
でも、少し前の自分なら、そのまま座り込んでいただろう――
今の自分が立ち上がっている。
それだけでも、少しは前に進めてるのかもしれない。
バイクにまたがり、足をペダルに置くと、小泉が少しだけ身を屈めて、声をかける。
「無理はしなくていいです。でも、挑戦する気持ちは忘れないで」
「……それ、けっこう難しいですね」
「だから一緒にいるんですよ、私たち理学療法士が」
その言葉に、雪乃は少し肩の力が抜けるのを感じた。
孤独に闘う必要はない――そんな安心感が、そっと背中を押してくれる。
ゆっくりとペダルを漕ぎ始める。
最初の数回は足が重い。
でも、だんだんとリズムがつかめてきた。
(……これが、私の“もう一度歩く”ってことなんだ)
大きな決意はいらない。
こうして少しずつ、自分の身体に向き合っていくこと。
それが、自分を取り戻す一歩になる。
ふと、顔を上げた先のガラス越しに、外来の廊下が見えた。
そこに、白衣を着た神崎の姿があった。
こちらに気づいた彼が、わずかに微笑んで、小さく手を振る。
雪乃の胸に、ほんのり熱が灯る。
(……もう一人じゃないんだ。私には、見てくれる人がいる)
ペダルを踏み込む力が、ほんの少しだけ強くなった。
回るたびに、重たかった心が少しずつ軽くなっていく。
「いいですよ、雪乃さん。その調子です」
「……はい、もうちょっと、がんばってみます」
そう答えた雪乃の顔に、ほんのり汗がにじんでいた。
でもそれは、過去の涙とは違う――未来に向かうための、前向きな輝きだった。
ふくらはぎの重たさを感じながら、一歩を踏み出す。
「じゃあ、次はバイクマシン、いきましょうか」
「……はい」
正直、気が進まない。
でも、少し前の自分なら、そのまま座り込んでいただろう――
今の自分が立ち上がっている。
それだけでも、少しは前に進めてるのかもしれない。
バイクにまたがり、足をペダルに置くと、小泉が少しだけ身を屈めて、声をかける。
「無理はしなくていいです。でも、挑戦する気持ちは忘れないで」
「……それ、けっこう難しいですね」
「だから一緒にいるんですよ、私たち理学療法士が」
その言葉に、雪乃は少し肩の力が抜けるのを感じた。
孤独に闘う必要はない――そんな安心感が、そっと背中を押してくれる。
ゆっくりとペダルを漕ぎ始める。
最初の数回は足が重い。
でも、だんだんとリズムがつかめてきた。
(……これが、私の“もう一度歩く”ってことなんだ)
大きな決意はいらない。
こうして少しずつ、自分の身体に向き合っていくこと。
それが、自分を取り戻す一歩になる。
ふと、顔を上げた先のガラス越しに、外来の廊下が見えた。
そこに、白衣を着た神崎の姿があった。
こちらに気づいた彼が、わずかに微笑んで、小さく手を振る。
雪乃の胸に、ほんのり熱が灯る。
(……もう一人じゃないんだ。私には、見てくれる人がいる)
ペダルを踏み込む力が、ほんの少しだけ強くなった。
回るたびに、重たかった心が少しずつ軽くなっていく。
「いいですよ、雪乃さん。その調子です」
「……はい、もうちょっと、がんばってみます」
そう答えた雪乃の顔に、ほんのり汗がにじんでいた。
でもそれは、過去の涙とは違う――未来に向かうための、前向きな輝きだった。