【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
「……そういえばね、昨日の夕方、警察から連絡が来てたの」
夕暮れの色に包まれた道を歩きながら、雪乃がぽつりと言う。

「警察?」
大雅が歩みを緩めて、彼女の顔を見る。

「うん。あの時の――父が私の部屋にいたときのことで、事情を聞きたいって」
雪乃は、少しだけ目を伏せたが、声は落ち着いていた。

大雅の顔に心配の色が浮かぶ。
「大丈夫? 無理しなくていいんだよ」

「……うん。ありがとう。でも、大丈夫」
彼女は静かに息を吐き、顔を上げた。

「話すことは、ちゃんと話そうって思ったの。逃げてばかりじゃ、前に進めないし……」

大雅はしばらく黙って彼女を見つめ、それからゆっくり頷いた。

「じゃあ、明日一緒に行こうか?」

「……ううん。大丈夫、ひとりで行く」
雪乃の声はやわらかく、でもどこか覚悟を感じさせる響きだった。
「ちゃんと、自分で終わらせたいから」

大雅は目を細め、小さく笑う。
「……そっか。じゃあ、玄関でハグくらいはさせて」

「それは、帰ってからでもいい?」
雪乃が少し照れくさそうに笑って言う。

「帰ってから? ……じゃあ、抱きしめながら今日の感想も聞くよ」

「それ、長くなりそうだね」
雪乃はふふっと笑いながら、大雅の腕にそっと自分の腕を重ねた。
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