その声を聞かせて
「てかどうやって入ったの?」

「前に会ったおばちゃんが入れてくれた」

そういえば何度か住人であるおばちゃんと二人でいる所を何度か見られた。

そして、あらあら新婚さん?
なんて聞かれた事があった。

あのおばちゃんだな…

鍵を開けて中に入れる。

「あ、そう」

「なんで逃げんの」

ギクっと肩をすぼめる。

玄関の中で見下ろされる。

「…逃げてない」

私は目をそらして答える。

「アルバム聴いた?」

「あー…、ごめん、まだ聴いてないんだよねー」

そう言ってリビングへと向かう私。

げ!
そうだった!
散らかってるんだった!

それにガッツリ聴いたうえに、頭から離れないというのに。

するとおもむろに凌があのメロディを口ずさむ。

思わず立ち止まってハッと息を飲む。

Rainだ…

「…僕の声を聴かせたい。愛しい君だけに届くように」

なんでそこだけ歌詞も…

ズンと胸に響く歌声が私の鼓動を速くさせる。

「良い歌でしょ」

「ほ、本当だね! さすがだね! 上手、上手!」

私は誤魔化すように拍手を送る。

そして散らかった服をとりあえずガバッと取ってクローゼットに押し込む。

今更だけど。

でも凌の顔が見れない。
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