その声を聞かせて
「なんで?」
ババババっとまた物凄いフリック入力する彼。
どうやら耳は聞こえるらしい。
そしてバッと見せられる。
"いいから。あんたなんなの? 昨日パン屋にもいたよな? 夜中も。ここのジムも一緒とかなんなの?"
すんげー迷惑そうじゃん。
「え、気づいてたの?」
"いや気づくだろ。あんたすげー凶暴そうだし。あれテコンドーだろ?"
へ?
「見たことあるの?」
コクっと頷く彼。
「ふーん」
それにしても凶暴だとか失礼な男だ。
愛想も悪いし。
見た目はカッコいいけど、態度が悪い。
私はジトーっとした目で見上げる。
"とにかく、話しかけんな。関わんな"
私に画面を見せてジムに戻ろうとする。
「ちょっと待ったー! 昨日のパーカー持ってきたんだけど!」
"いらねぇ。捨てろ"
そう言って何事もなかったかのようにジムに入って行った。