その声を聞かせて
黒の半袖のTシャツに黒のパンツを履いて、手にはグローブ。

Tシャツからはみ出た腕は逞しくそれを見るだけでもドキドキしてしまう。

「掴まれ」

そう言って私の腕を自分のお腹に巻き付けようとする凌。

ちょっとイタズラしちゃおっかな。

私は身体を密着させないまま腕だけを回してみた。

「違うだろ」

「ん? 何が?」

すっとぼける私。

すると一瞬クスッと笑ったかと思えばエンジンをかける凌。

そして発進させたかと思えば急停止した。

私はその勢いで咄嗟に凌に身体を密着させ掴まる形になった。

「ちょっ!」

「よし。出発」

もう!

結局こうなる。

凌は満足そうに笑ってるし、無駄な抵抗だったようだ。

「背中に胸当たるー」

「へんたーい」

こんな馬鹿みたいな会話をしているなんて誰が思うだろう。
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