その声を聞かせて
家に着いて、窓際に立つ。

「…綺麗」

「お気に入りだな」

凌がそっと後ろから抱きついてくる。

「うん。この景色、好き」

今日は朝から忙しかったな。

そして、今朝もらった指輪を見る。

夜景の光を反射して、キラキラと輝いている。

スッと耳元に凌の息を感じる。

それだけで、ぞくぞくと背筋に稲妻が落ちたみたいだ。

指輪がついた手の甲にキスをされる。

「由麻」

この声。

声優の川嶋暖でもなく、NRとも違う。

低くて、甘くて、深い。

私の、大好きな声。

私だけの、声。

そっと向き直し、凌を見つめる。

ゆっくりと頬に手をかざす。

すると凌も何も言わずに私の頬に大きな手をかざした。

この顔も。

私を見下ろす熱い瞳も。

色んな声を出すこの口も。

そっと口付ける。

この唇も。

ひとつひとつ指でなぞる。

全部、私だけの凌。
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