その声を聞かせて
私の父親はボクシングの元ライトヘビー級チャンピオンで、今はジムをいくつも経営している。

私も時間があれば通ってる。

父は髪が寂しくなってきたのを機にスキンヘッドにした。

そんな父の背中には大きなバッファローのタトゥーが入っていて、なんでバッファロー? と思って幼い頃に聞いてみたら、丑年だからだそうだ。

…干支だった。

兄の波瑠(はる)はキックボクシングのプロを引退し、現在はトレーナー兼オーナーとしてジムで働いていて、彼の背中には虎。

寅年だもの。

黒髪でノーフレームの眼鏡をかけて、スーツを着ている時なんて一見真面目なサラリーマンにも見える。
たぶん。

たぶん…

そして弟の亜門(あもん)は今もバリバリ現役で、背中に蛇。

なんで蛇かはもう聞かなくても分かる。

シルバーの短髪で、肌も白め。
父と同じボクシングで階級はミドル級。

父親を筆頭にうちの男性陣は母親似の私とは違い、みんなキリッとした目つきの塩顔だ。

母親は癌で15年前に空の住人になった。
私が小学6年の時だ。

そんなこんなで私はこの最強とも言える男たちに囲まれて育ったため、漏れなく私も強い。
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