その声を聞かせて
「殴ったりなんてしないんだけど」

「本当に? 実はこれまで怖くて言い出せなかったんだ…」

なんだか一気にげんなりだ。

何という頼りなさ…

いや、その辺に関しては私も全く期待はしてなかったけど…

そして私たちはあっさり別れたのだった。

その後直樹の荷物は、直樹の実家から使いの人が来て綺麗さっぱり撤収していった。

しかも直樹からは慰謝料だと言って、使いの人がアタッシュケースに意味のわからない量の札束を入れて持ってきた。

ふざけるな。

一円たりともいらない。

私はすぐさまその場で婚約指輪と一緒に突き返した。

お金で解決できると思ってるその浅はかな考えも、マザコンな所も、もう大っ嫌い。

父の実家、つまり私の祖父の家はテコンドーの道場をしていて師範。

父ももともとはそっち。

それもあって、私はボクシングではなくテコンドーをしていた。

道場を継いだのは父の兄で今もそっちはそっちで頑張っているようだ。
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