その声を聞かせて
"座れば?"

何も言わずに立ちすくんでいると彼が顎で自分の向かい側をクイっと指す。

私は言われた通りそこに座った。

"やっぱり痛そうだな"

「うん。まだね。でも左足だし運転はできそう」

彼が携帯を触るとどこからか洋楽が流れ始めた。

「携帯で操作できるの?」

コクっと頷く彼。

すごー。

"坂下波瑠"

「え?」

波瑠がどうした?

"仲良いの?"

「あー、あれ私の兄」

すると目を大きく開ける彼。

"んじゃ坂下亜門も?"

「弟だね」

"坂下敏史は?"

「父だよ」

"あんたの名前は?"

「坂下 由麻。あなたは?」

少しの間のあと彼は携帯を見せた。

"鳴海 凌(なるみ りょう)"

< 53 / 280 >

この作品をシェア

pagetop