その声を聞かせて
「やめろ」
その時、初めて聞くのにどこかで聞き覚えのある低くて通る声が耳に届いた。
え…
なんで…
なんでここに?
「由麻、しっかりしろ」
凌だ。
喋った…
「由麻! 話をしよう!」
直樹はまだそんな事を言っている。
「具合が悪いのが分からないのか?」
凌、あなた話せないんじゃなかったの?
するとクラクラとして自然と凌に寄りかかってしまう。
「え!? 由麻! 具合悪いのか!? なら俺が!」
直樹が私に手を伸ばす。
「嫌だっ」
私は咄嗟に凌の後ろに隠れようとするもクラクラしてどうにもならない。
すると凌に横抱きに抱き上げられた。
「あんたの出番はない。さっさと帰れ」
直樹にそれは冷たくて低く重い声で言い放つ。
「あんた誰だよ!」
「今はそんな話をしている場合じゃないだろ」
「俺は由麻の婚約者だぞ!」
ちゃうやろー
やめろー
余計な事言うなー
私の手から鍵を取った凌は直樹を無視してエントランスを開けて中に入った。
「部屋どこか言えるか?」
え、部屋に来るの…?
めっちゃ汚い…
でもキツ…
「701…」
そこで私はついに力尽きた。