その声を聞かせて
「来い!」
凌はその女性の手を無理矢理引っ張って何故かこちらに歩いてきた。
そして私の乗る車のドアを開けてヘルメットを取ると、私には何も言わずに閉める。
バイクからもう一つヘルメットを出してそれを彼女に被せてバイクで二人走り去ってしまった。
え?
行っちゃった…んだけど…
残された男性も訳がわからないという感じになっている。
何あれ。
これどうすんのよ。
もたされたアイスコーヒーはすっかり結露してポタっと足に雫が落ちた。
なんか分からないけど…
気分悪い。
あの二人、親密そうだった。
その時ポツポツと雨が降ってきて、しまいにはザーっと降り始めた。
凌達バイクじゃん。
そして自分が雨の日に助けられた事を思い出す。
濡れたら、私がそうだったみたいにあの高級タワーマンションに連れて帰るのだろうか。