Beautiful Flowers
最終話

最終話

5月がやってきた。

今年は早々にライラックが終わってしまい、今、うちの庭には、シャクヤクやツキヌキニントウ、そしてツユクサやレースフラワーなども咲きはじめ、小さなトワは大喜びだ。
そして、最近、俺を悩ませるのは -
「かたばみ、きれい、きれい!!」
トワが雑草を抜いて捨てるのをいやがる -

カタバミはクローバーに似た形をしているが、繁殖力が強く、すぐに大きくなるやっかいな雑草だ。
「選択的除草」と言う考え方もあるのだから、少しばかり雑草を残しておいても良いのだが、たまに、
訳知り顔の近所のおじさんおばさんが「ジャングルみたいねぇ」と言って通る。恥ずかしい。
「トワ、
カタバミは悪い草なんだよ」
「かたばみ、かたばみ、きれい!!」
(反抗期かな)
俺の言葉を聞いたトワは両手のこぶしを握って怒っている。ひたいに汗までかいて。
何だか最近、この子、自己主張が強くなってきたような……

「トワ、暑くなってきたからお家に戻ろう」
「かたばみ……」
「捨てないよ。大丈夫。
お手て洗って、麦茶飲もうね」
「ふれ!」
俺はいつまで、
この、言葉を覚えない子どもの面倒を見なければならないのだろう -

担当医の土田先生は、カウンセラーをつけてトワの様子を見てくれる。
秋田に住んでいる保育士のユウさんはひんぱんに連絡をくれるし、千葉に住んでいる高校生のリーラも、しょっちゅう家に遊びにきてはトワに得意のダンスを教えたり、自分の好きなアイドルのプレゼンをしたり、しまいには飯を食い、寝たりして帰っていく。
だが、ユウさんはもちろん、リーラだってそういつも来られるわけではない。リーラにも学校生活があり、友人関係もあり、もしかしたら恋人だっているかもしれない。本人は何も言わないけれど。
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