ステラクリマの匣庭ー貴方が読むまで、終わらない物語ー

観察

静かだった。君の心が壊れる音も、

君が言葉を忘れる過程も、

どれも、美しくて、優しくて――痛かった。

でも僕は、止めなかった。

どうしてって?

君が僕の時間から離れていくのが、怖かったから。

“愛してる”なんて簡単な言葉じゃ足りないんだ。

僕は、君の“存在”が欲しかった。

だから、“君自身”を止めた。

……これが間違いだったとしても、もう遅い。

君は、ここにいる。

永遠に、ね。



ーーフェクダ
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