ステラクリマの匣庭ー貴方が読むまで、終わらない物語ー
Ⅱ.星の心
宙に浮かぶ光の中、星のように輝く自分がいた。けれど、光は六つの手に絡め取られ、引きずり下ろされる。
アリオト、ドゥーベ、メラク、ミザール、メグレズ、フェクダ――
彼らの手が、彼女の胸を、頭を、背を貫いてゆく。
まるでそれが当たり前かのように、彼らは彼女の内側から「何か」を奪っていった。
光の中心にあった核が砕け、断片となって宙に散らばる。
そして――声がした。
『それがなければ、君は星に還れない』
『取り戻して。自分を、自分で掴んで』
目覚めたルカの頬には、涙の跡があった。
胸の奥に、確かな確信が宿っていた。
――彼らは、私の“心”を奪った。
アリオトには、自由。
ドゥーベには、思考。
メラクには、意志。
ミザールには、言葉。
メグレズには、記憶。
フェクダには、時間。
だから自分は、ここに囚われていたのだ。感情が鈍く、思い出せず、声さえ詰まるのは――彼らが、その一つひとつを奪ったからだ。
ならば、取り戻さなくてはならない。
狂おしいほどに愛されたとしても。
彼らが泣いて縋ってきたとしても。
それでも、私は――私のままで在りたい。
それでも彼らは囁いた。
『君には、必要ない』
『考えることも、選ぶことも』
『お前の意志は、俺の不安になるだけだ』
『記憶も、感情も、全部、僕が持っているから』
『君は、僕のものだから』
『君が泣くまで、何度でも繰り返してあげる』
アリオト、ドゥーベ、メラク、ミザール、メグレズ、フェクダ――
彼らの手が、彼女の胸を、頭を、背を貫いてゆく。
まるでそれが当たり前かのように、彼らは彼女の内側から「何か」を奪っていった。
光の中心にあった核が砕け、断片となって宙に散らばる。
そして――声がした。
『それがなければ、君は星に還れない』
『取り戻して。自分を、自分で掴んで』
目覚めたルカの頬には、涙の跡があった。
胸の奥に、確かな確信が宿っていた。
――彼らは、私の“心”を奪った。
アリオトには、自由。
ドゥーベには、思考。
メラクには、意志。
ミザールには、言葉。
メグレズには、記憶。
フェクダには、時間。
だから自分は、ここに囚われていたのだ。感情が鈍く、思い出せず、声さえ詰まるのは――彼らが、その一つひとつを奪ったからだ。
ならば、取り戻さなくてはならない。
狂おしいほどに愛されたとしても。
彼らが泣いて縋ってきたとしても。
それでも、私は――私のままで在りたい。
それでも彼らは囁いた。
『君には、必要ない』
『考えることも、選ぶことも』
『お前の意志は、俺の不安になるだけだ』
『記憶も、感情も、全部、僕が持っているから』
『君は、僕のものだから』
『君が泣くまで、何度でも繰り返してあげる』