サルビアの育てかた
 嫌な予感がしてしまった。一瞬、変な想像をしてしまう。

 ──いや、まさか、そんなはずはない。ライクに限ってそんなことないだろう……?

 信じたかった。それなのに、今までライクがなにげなく口にしていた台詞が俺の脳裏に次々と通過していくんだ。

〈すげぇな、ダンスを始めたばかりなのに、綺麗なステップだ〉
〈レイは今まで見た誰よりも可愛いな〉
〈おれは緊張しているレイを和ませようとしているだけだぜ〉
〈次のイベントが成功したら、ご褒美におれがレイを北の高台(ノースヒル)に連れていってやりたいくらいだ〉
〈レイが今日のためにものすごい努力していたのを、おれは知ってるぜ!〉
〈レイがこんなに頑張っているのに、どうせ褒めてやらねぇんだろ?〉
〈本番で成功したら、おれがご褒美に洒落たレストランに連れていってやろうか?〉
〈旨い飯を食べたあとは北の高台(ノースヒル)にも連れていってやるぜ。あそこの景色はめちゃくちゃ綺麗で……〉
 …………

 まだ見落としている場所があった。

 どうしても、信じられなかった。信じたくなかった。だけど……。
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