サルビアの育てかた
 軽快な足取りで歩いていると、あっという間に家に辿り着いた。
 ふと花壇の方を見ると、既に母が起きていて花たちに水やりをしている姿があった。
 母は私が帰ってきたことに気がつくと、まだお化粧もしていない顔でにこりと微笑んだ。

「おはよう、レイ。今日もランニングに行ってきたのね」
「お母さんおはよう。少しだけ……走ってきたよ」

 もちろん母にも、私が隠れて踊っているのは内緒。走っていることにして、いつも誤魔化していた。
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