サルビアの育てかた
ボロが出てはいけない。そう思い、私はすぐに話題を逸らす。
「それよりさ、このお花って……一年中ここに咲いてる気がするんだけど。どうして?」
「あら、よく気がついたわね。本当は寒い時期には咲かないお花なのよ。でも愛情いっぱいに育てているから、いつ種を植えても立派に花を咲かせるの」
母は誇らしげに笑うの。お花ってそういうものなのかな?
「魔法みたいだね。なんていう名前なの?」
私は母の隣に立ち、綺麗に咲く花たちをじっと眺めた。
とても印象的なのは赤い花だ。小さい唇の形をした花びらをいくつも咲かせていて、真緑の大きな葉が茎から手を生やすように飾られている。
花たちに見惚れていると、母は柔らかい口調で教えてくれる。
「これはね、『サルビア』という花なのよ」
「へえ、そうなんだ。お母さん、いつも『サルビア』を大切そうに育てているよね。お気に入りのお花なの?」
なにげなく聞いただけだった。
このときまでは知らなかったから。母にとって、この『サルビア』がどれだけ特別なものだったのかなんて。
「そうね……この花は、もう一人の家族のために育てているから」
「……もう一人の家族?」
母は、水やりする手を一度止めた。おもむろに私の方を向く母の顔が朝陽に照らされる。とても綺麗だった。
「あれは、レイが生まれるずっと前の話よ。この家には、もう一人女の子がいたはずなの」
私の目をじっと見つめながら、母はその過去を語り始める──
「それよりさ、このお花って……一年中ここに咲いてる気がするんだけど。どうして?」
「あら、よく気がついたわね。本当は寒い時期には咲かないお花なのよ。でも愛情いっぱいに育てているから、いつ種を植えても立派に花を咲かせるの」
母は誇らしげに笑うの。お花ってそういうものなのかな?
「魔法みたいだね。なんていう名前なの?」
私は母の隣に立ち、綺麗に咲く花たちをじっと眺めた。
とても印象的なのは赤い花だ。小さい唇の形をした花びらをいくつも咲かせていて、真緑の大きな葉が茎から手を生やすように飾られている。
花たちに見惚れていると、母は柔らかい口調で教えてくれる。
「これはね、『サルビア』という花なのよ」
「へえ、そうなんだ。お母さん、いつも『サルビア』を大切そうに育てているよね。お気に入りのお花なの?」
なにげなく聞いただけだった。
このときまでは知らなかったから。母にとって、この『サルビア』がどれだけ特別なものだったのかなんて。
「そうね……この花は、もう一人の家族のために育てているから」
「……もう一人の家族?」
母は、水やりする手を一度止めた。おもむろに私の方を向く母の顔が朝陽に照らされる。とても綺麗だった。
「あれは、レイが生まれるずっと前の話よ。この家には、もう一人女の子がいたはずなの」
私の目をじっと見つめながら、母はその過去を語り始める──