サルビアの育てかた
 話さなきゃ。今日あったこと。お腹の子がどうなってしまったのか。話さなきゃならない。それなのに、言えない。

 目の前がぼやけていた。顔が熱くなり、またもや冷たい雫が頬に流れ落ちる。
 セナを包み込むアイルの両腕が小刻みに震え始めた。

「わたし、信じられないの……」

 絞り出すような声で、セナはどうにか話を続ける。

「信じたくない、信じられない。つい最近まで、あんなに元気にしていたのに。それなのに、お腹の子が……わたしたちの赤ちゃんは……もう……」

 ──死んでしまった

 たった一言が、声に出して言うことができない。どうしてもできなかった。

 だって、この前検診に行ったときはちゃんと心臓が動いていた。つい最近までお腹の中でたくさん暴れて、あちこち蹴っていたのに。どうして突然、生きるのをやめてしまったの……?

(何か悪い物でも食べてしまったかしら? お腹を冷やしすぎてしまったかしら? お腹に衝撃を与えてしまったかしら?)

 どんなに考えても、答えは出てこない。なぜこうなったのか全然分からない。

 どうして? なんで? 天国へ旅立つには、あまりにも早すぎる。あともう少しで会えたのに……!
 
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