サルビアの育てかた
 その部屋はいつも煙たくて、変な匂いが漂っていた。誤ってその煙を吸ってしまうと、息が苦しくなって咳が止まらなくなる。どうしようもなく泣き声を上げてしまうと──ほら、また来た。口に何かを咥えながら悪魔のような顔をして、私を冷たい眼差しで見下ろす人。この人はずっと隣にいるけれど、私が少しでも泣くと叩いたり殴ったりしてくるんだよ。今日ももちろん、私は身体のあちこちを痛めつけられた。

『怖い。怖いよ、やめてよ』

 どんなにそう訴えても、この人に声は届かない。だって私は、泣くことしかできないんだもの。
 けれど……どうしても痛いから、心も身体もボロボロだから、私は泣いちゃうんだよ。

『やめて、やめて、やめてよ、お願いお願いお願い』

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