サルビアの育てかた
 時刻を確認すると、七時を過ぎたところだった。
 紅茶でも淹れるか。そう思いながら、ふとレイが寝ているソファに目を向けた。

「レイ」

 呼びかけてみるが、彼女はまだ眠っているようだった。
 静かに寝息を立てるレイをじっと見つめる。背中の下まで伸びた黒髪、目を閉じても分かるくっきりした二重、綺麗な小麦色の肌。

 妹だけど──本当に似ていないよな。

 俺は自分の両手を眺めた。少し日焼けた白い肌は、レイのものと並ぶと違いが一層分かってしまう。
 彼女はどこの出身なんだろう。どんな親から生まれてきたんだろう。
 一瞬だけ、そんなことを考えてしまった。だが、すぐにこんな疑問を打ち消す。

 ……なんてバカなことを。レイはレイだぞ。彼女の出生を知ったところでなんの意味も見出ださない。レイは俺たちの家族なんだ。生まれなんてどうでもいいし、関係ないだろ……。

 愚かな自分に、俺は無意識のうちに深いため息を吐いた。
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