サルビアの育てかた
「ねえ、ヒルス」
「うん?」
「もうひとつお願いがあるの!」
「お願い? なんだ、言ってみろ」
「今度のお休みに、どこかへ連れていってほしいな」
「どこかって?」
「それは、お休みの日に言うね!」

 楽しそうに話すレイだったが、ほんの束の間、切なそうな顔になったのは俺の気のせいだろうか。
 しかし深く問いかけたりしない。レイが行きたいところがあるなら、どこへでも連れていってやる。

「分かった。昨日の礼だ。次の休みは空けておくよ」
「やった!」

 レイはすぐさま満面の笑みに戻るんだ。

 朝から逐一、癒される……。

 胸がキュッとしたまま共用キッチンへ赴き、いそいそと調理を始めた。トーストを焼きながら卵とベーコンをフライパンで熱する。豆のサラダなんかも作ったりして、鼻歌交じりで料理を進めた。

 朝食が出来上がると、二人分のプレートを部屋へ運ぶ。二人で向かい合って座り、彼女と一緒に朝のひとときを噛み締める。なにげないこの時間が、俺の心に安らぎを与えてくれた。

「この後仕事に行くけど、夕方には終わるんだ。帰ったら実家まで送ろうか」
「いいの?」
「ああ。それくらい全然」
「分かった! それじゃあ待ってるね」
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