サルビアの育てかた
 それから少し時間が過ぎた頃。私はたくさん泣くようになった。
 その人からぬくもりをもらって、お腹が満たされたよ。気持ち悪くなったら、汚れたところを綺麗にしてもらったよ。数日に一回、お風呂に入れてもらえたよ。
 私、勘違いしてた。この人に甘えていいんだって。だから、もっともっとたくさん泣き声を上げるようになった。
 だけどそれは、間違いだったみたい……。

『痛い、熱い、ごめんなさい、やめて、怖いの、悲しいの、もう泣かないから。お願いお願いお願い……!』

 いつもそばにいた女の人は、いつの間にか「悪魔」のような顔になっていた。冷酷な眼差しで、私のことを叩いたり殴ったり、ありえないくらい熱いお湯で体を痛めつけてきたりするようになったの。
 私が泣いたって、ぬくもりをくれない。身体が汚れても、ずっと放置されたまま。お風呂にも入れてくれなくなってしまった。 
 なんで、どうして? 痛いことをして、なんてお願いしてないよ。私の声、聞こえてないの? もっと大きな声で泣かないと、届かないの……?
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