サルビアの育てかた
「レイ!」

 ヒルスが私のそばに駆け寄ってきた。額から汗が滲み出てる。怯えた様子で、力強く私の全身を抱き締める。
 取り乱す私を鎮めようとするかのように、彼は優しく囁いた。

「落ち着いて。しっかりするんだ」
「落ち着けるわけない! 怖いよヒルス。怖くてたまらない……!」

 もしも、最悪な事態になってしまったのだとしたら。父と母に万が一のことがあったら。恐ろしい考えが過ると、動悸と吐き気と息苦しさが私の中で激しさを増す。
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