サルビアの育てかた
「誰か……」

 混乱する現場で、ヒルスは声の限り叫んだ。

「誰か、助けてくれ。レイが……妹が。助けて! 助けてくれ、お願い、お願いだ!」

 近くにいた救急隊員たちが異変に気づいたのだろう、すぐに数名が私たちのところに駆けつけてきた。

 ──その間にも、私たちの家が燃え続けてる。ヒルスと二人で一緒にダンス練習をしていたガーデンに、玄関ドアから吹き出る炎が燃え移っていった。母が大切に育てていた『サルビア』たちも、みんな燃えつきてしまう。

 私たちの家はめきめきと音を立て、家族で過ごしたリビングがある一階部分が完全に崩壊した。それと同時に私とヒルスの部屋があった二階は足場を無くし、耳が痛くなるほど大きな音を立てて下に崩れ落ちてしまった。
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