サルビアの育てかた
第五章
◆
金曜夜のパブは、多くの客で賑わいを見せている。
仕事を終えた後、俺はスタジオの仲間たちと約束通り飲みに来た。
――それにしてもフレアもジャスティン先生も昨日飲みに行ったばかりだというのに、よく二日連続で酒が飲めるよな。あまり酒が強くない俺にとって、到底理解できない行動だ。
しかも、スタジオ仲間で集まるはずのこの飲み会に、なぜだか一人場違いな人間もいた。
「……どうしてジェイク叔父さんまでいるんだよ」
「アルコールがオレを呼んでいたからだ」
親戚の中でも大の酒好きの叔父のジェイクは、ビールを片手に上機嫌で笑っている。
その隣でフレアが大きな声で言う。
「わたしが誘ったのよ! ジェイクはヒルスと違ってお酒がいける口だからね。飲める人がいないとつまらないもの」
ちびちびとシャンディを飲む俺を横目に、フレアはさっきから何杯目かも分からない酒を浴びるように飲んでいる。
「いや、嬉しいなあ。アメリカに戻る前にフレアから何度も飲みに誘ってもらえるなんて」
ギネスビールをグビグビと飲み干し、絶え間なく追加オーダーをしていく叔父は実は魔物なんじゃないかと勘違いしてしまいそうになる。
「何度もって……まだ二回目だろ」
「これが来週も飲みに行くんだな」
いつの間にか叔父とフレアはそんなに仲良くなったのか。酒の力はすごいな、と俺は変に感心する。
「スタジオ仲間でお酒が飲める人ってわたしとジャスティン先生くらいでしょう? ヒルスはいつもお子様向けの甘いシャンディしか飲まないしね」
「はぁ? 酒にお子様向けも何もないだろう……」
と、俺は小さく突っ込みを入れる。