サルビアの育てかた
「やぁ、ロイ。よく来てくれたね」
「すみません、ジャスティン先生。遅くなりました」

 誰だろう。このパブの雰囲気にそぐわない少年を眺めながら、俺は心の中で首を傾げる。
 すると、ジャスティン先生がにこやかに話し始めた。

「紹介するよ。この子はロイ・ウォーカー。今回、僕の弟子として迎えることにしたんだよ」
「えっ、そうなんですか」
「弟子を取るのは何年振りかなあ。しばらく取らないでいるつもりだったし、なんならこの先ずっと取らないと思っていたよ」

 俺がインストラクターになってから、正に初めての「新入生」だった。思いがけない出来事に驚きを隠せない。
 ジャスティン先生の弟子入りを志願している人は数知れない。海外からの希望者もいるほどだ。
 けれど、先生は今ダンススタジオにいる数名の教え子たちを手厚く指導していきたいと考えている。もうずいぶん長いこと、新しい弟子は取っていないんだ。
 それなのに、このロイという少年……一体どういうきっかけがあったというんだ?
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