サルビアの育てかた
 彼女との甘いキスは、胸の高鳴りだけではなく、安らぎや幸福を与えてくれる。今までに経験したことのないような、燃えるような熱さが俺の心を大きく包み込んでいく。
 今日この時に、真実を彼女に打ち明けたことを俺は決して後悔していない。むしろ、これで良かったとさえ思っている。

 だけどひとつだけ。レイに知らせていない過去がある。それは、生みの親に彼女が酷い仕打ちをされていたことだ。鎖骨下のあの火傷痕は一生消えないだろう。だけど、レイにはこれ以上傷ついてほしくない。
 だから俺はこれまでもこれからも、彼女の過去について誰にも話すつもりはない。心の奥底に潜むトラウマによって、レイが再び悪夢を見ないように。
 彼女の笑顔を守れるのは、他の誰でもなくこの俺だけだ。
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