サルビアの育てかた
「それにロイのこともごめんね。彼とは同じ孤児院出身だから色々と話をしたの。ロイも私が孤児院にいたことを、知っていたみたいだから」
「……レイ」

 目を細め、レイは照れたように顔を赤く染めるんだ。

「分かってるでしょ? 私、ヒルスのこと大好きなんだよ。こうして一緒にいるだけで幸せなの」

 俺はレイの話に胸が熱くなり、一瞬言葉を失くした。向かいに座るレイの胸元に、俺はそっと手を伸ばす。

「ヒルス……?」

 彼女の首からぶら下がるネックレスにそっと触れた。

「俺たちには不安なんていらないな。いつも心は繋がってるから」

 そう言いながらフッと微笑むと、レイは赤面しながらも小さく頷くんだ。

「うん。そうだね!」

 ──思いがけないところで彼女の本心を聞いてしまった。なんだかむず痒いような変な感じがする。それでいて、俺とレイの心は固く結ばれているんだと再確認出来て胸がいっぱいになった。

 レイから聞かされた昨夜のあの話は、俺の中ではずっと許せないのは変わらない。メイリーの所に行って、怒鳴り込んでやりたいほどはらわたが煮えくり返っている。
 だけどレイは争い事は好きじゃない。俺が怒りに任せてそんなことをしても、彼女を悲しませるだけだ。だからこのまま、俺の中の怒りを鎮めるのが一番いい。

 時間が経つにつれ、俺とレイの絆がどんどん深くなっているのは身に染みて感じる。もしもこの先レイが何かで悩んでいたり不安に思うことがあれば、その時は必ず助けてやりたい。
< 536 / 847 >

この作品をシェア

pagetop