サルビアの育てかた
 ──スクール内を全て見学した後、俺とレイはジャスティン先生に事務室へと案内された。例の土地の貸し借りの契約に関しての話だった。

「契約上は無期限だけど、もし土地を返してほしいという時が来たら早めに教えてくれると助かるな」
「よっぽどのことがない限り、そういう話はないと思いますよ」
「きっちりしないといけないことだから。地代もこの額で問題なかったよね」
「はい。大丈夫です」

 内容の確認が終わると、ジャスティン先生はさっと立ち上がり、俺とレイに深々と頭を下げた。

「本当に君たちには助けられたよ。これで僕のスクールも、更に大きく生まれ変わったんだ。優秀なダンサーの発掘が出来るチャンスも広がったしね。ありがとう。ヒルス、レイ」

 先生のそんな言葉に、俺とレイは顔を見合わせながら微笑んだ。

「俺たちも先生にはいつも助けてもらっていますから」
「そうですよ。私たち、ジャスティン先生がいてくれたから、ダンスを続けられるわけですし。お互い様ですよね」

 すると、ジャスティン先生は顔を上げてこの上ないほど目を輝かせていた。

「僕は幸せ者だね。こんなに良い子たちに支えられているんだから」

 そう言う先生の目は、どこか潤いを見せていた。
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