サルビアの育てかた
 数時間前。スクールでジャスティン先生とレイが話したことは俺が予想していた通り、プロのダンサーとして採用したいというものだった。しかし、それは想像とは違う、特別な意味があったんだ。

「どうかな。レイ。凄く良い話だと思うんだけど」
「私が……ですか?」

 レイは先生に言われたことが一瞬信じられなく、目を見開いた。

「私が──あの方の専属ダンサーになるんですか?」
「そうだよ。あの世界的なアーティストのモラレスから、直接オファーが来ていてね! モラレスが来英した時、バックダンサーとして君に踊ってほしいみたいなんだ」
「モラレスって、さっきもスクールで聞いた曲を歌っている人ですよね? 私も何度かモラレスの曲を踊りましたし、すごく有名な人ですよ。そんな人がどうして私なんかを……?」
「どうやらモラレスは、レイがロンドン大会で優勝した際に踊った映像を見たらしいんだよ。あの日のダンスは、誰がどう見ても最高に光り輝いていたからね! 世界的なアーティストの心も射止めたみたいだ。さすがだよ!」

 ジャスティン先生は今までに見たこともないほど嬉しそうで、歯をキラキラと輝かせていた。
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