サルビアの育てかた
 静かに愛を交わした後、俺はゆっくりとレイの唇から離れていく。

「なあ、レイ」
「何?」
「話があるんだけど……」

 話そう、と頭の中では分かっていても言葉が口から出てきてくれない。
 なかなか続きを語ろうとしない俺を見て、レイは首を捻る。

「どうしたの?」
「いや、その」

 レイから視線を外し、どうしたらいいのかと考えこんでしまう。その場で答えを出すことが出来ずにいた。

 小首を傾げながらも、レイはにこりと俺に微笑みかけてくれる。

「ねぇ。ヒルス」
「……うん?」
「私も話したいことがあるの」

 レイの声は、ワクワクしたようにとても明るい。

 ──彼女が話してくれたことは、俺の悩みを一気に忘れさせてくれるほど驚かされる内容だった。
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