サルビアの育てかた
「レイちゃんとヒルス君にね、新曲を聴いてほしくって。ジャスティンから練習場を一箇所貸してもらったから一緒に来てちょうだい」
「はい」
言われるがまま俺とレイはモラレスさんの後をついていく。
練習場に入ると、すぐさま新曲を流してくれた。
この人の歌う曲は、なんというかいつも魂が込められているんだよな。低音が効いたクールな曲が多く、ダンスをするとゾワゾワして気分が上がる。歌詞は前向きな考え方や人生観を表したものが印象深い。
モラレスさんの普段の喋りかたは女性的で少し高めなのに、歌をうたう時だけは男性らしい低い声で心地が良い。このギャップにやられたファンも多いのではないかと思うほど。
新曲は若干アップテンポで、ダンスをするのにテンションが最高に上がりそうなイメージだった。
曲を聴き終えたあと、俺もPVの収録が少しばかり楽しみになり、ニヤついてしまう。
俺の隣で一緒に聴いていたレイも、曲が終わった後に大きな拍手をして嬉しそうだった。
「モラレスさん、私この曲好きです。凄く格好良い!」
「ありがとう、レイちゃん。これからこの曲で振り付け師がダンスを考えてくれるから。振り付けが決まったら、少しずつ練習を始めてくれる?」
「はい、もちろんです!」
元気よく返事をするレイを見て、俺の心もワクワクしてきた。きっと俺のダンスライフの中で最も大きな仕事になるのだろう。
楽しそうに話すレイを前に、モラレスさんは優しい顔で微笑んだ。
「レイちゃん、良い顔ね。ちょっと安心したわ」
「え?」
「この前会った時、不安そうな顔してたから。ヒルス君も、ね?」
真顔でそんなことを言われ、俺はギクリとする。正直、今でも多少の不安は残っている。
「たしかにあなたのバックダンサーとして踊れるのは光栄に思います。だけど反響が凄すぎて、少し戸惑っているのが正直なところです」
俺が素直に本音を言うと、レイも隣で頷いた。
俺たちを眺めるモラレスさんは、頬に手を当てて何やらニヤニヤ笑っている。
「なるほどねぇ。そうよ。あなたたち、ちょっと複雑な事情があるみたいよね」
ものすごい眼力でそう言われてしまうと、俺もレイもまともに返事をすることが出来なくなってしまう。
モラレスさんは練習場内を一度見回してから、声のボリュームを落とした。
「まあ、大体分かるわよ。あなたたち、普通の兄妹っていう関係じゃないわよね」
俺はたまらず目を逸らす。頷くこともしなければ、否定もしない。
それでもモラレスさんは満面の笑みで続けた。
「大丈夫よ、別に他の子たちにバラしたりしないし。見てて分かるもの。あなたたち、とっても仲良しでラブラブよね。お互いがお互いを愛していて、心が満たされている。素敵だわ!」
「いや、モラレスさん。何を言うんですか」
「あらやだ。ヒルス君、照れてるの? 可愛いわぁ。誤魔化したって、アタシには男と女の気持ちが分かっちゃうんだから!」
「……」
あまりにも自信満々で、的確に言い当てられてしまうものだから、反論も何も出来ない。
「はい」
言われるがまま俺とレイはモラレスさんの後をついていく。
練習場に入ると、すぐさま新曲を流してくれた。
この人の歌う曲は、なんというかいつも魂が込められているんだよな。低音が効いたクールな曲が多く、ダンスをするとゾワゾワして気分が上がる。歌詞は前向きな考え方や人生観を表したものが印象深い。
モラレスさんの普段の喋りかたは女性的で少し高めなのに、歌をうたう時だけは男性らしい低い声で心地が良い。このギャップにやられたファンも多いのではないかと思うほど。
新曲は若干アップテンポで、ダンスをするのにテンションが最高に上がりそうなイメージだった。
曲を聴き終えたあと、俺もPVの収録が少しばかり楽しみになり、ニヤついてしまう。
俺の隣で一緒に聴いていたレイも、曲が終わった後に大きな拍手をして嬉しそうだった。
「モラレスさん、私この曲好きです。凄く格好良い!」
「ありがとう、レイちゃん。これからこの曲で振り付け師がダンスを考えてくれるから。振り付けが決まったら、少しずつ練習を始めてくれる?」
「はい、もちろんです!」
元気よく返事をするレイを見て、俺の心もワクワクしてきた。きっと俺のダンスライフの中で最も大きな仕事になるのだろう。
楽しそうに話すレイを前に、モラレスさんは優しい顔で微笑んだ。
「レイちゃん、良い顔ね。ちょっと安心したわ」
「え?」
「この前会った時、不安そうな顔してたから。ヒルス君も、ね?」
真顔でそんなことを言われ、俺はギクリとする。正直、今でも多少の不安は残っている。
「たしかにあなたのバックダンサーとして踊れるのは光栄に思います。だけど反響が凄すぎて、少し戸惑っているのが正直なところです」
俺が素直に本音を言うと、レイも隣で頷いた。
俺たちを眺めるモラレスさんは、頬に手を当てて何やらニヤニヤ笑っている。
「なるほどねぇ。そうよ。あなたたち、ちょっと複雑な事情があるみたいよね」
ものすごい眼力でそう言われてしまうと、俺もレイもまともに返事をすることが出来なくなってしまう。
モラレスさんは練習場内を一度見回してから、声のボリュームを落とした。
「まあ、大体分かるわよ。あなたたち、普通の兄妹っていう関係じゃないわよね」
俺はたまらず目を逸らす。頷くこともしなければ、否定もしない。
それでもモラレスさんは満面の笑みで続けた。
「大丈夫よ、別に他の子たちにバラしたりしないし。見てて分かるもの。あなたたち、とっても仲良しでラブラブよね。お互いがお互いを愛していて、心が満たされている。素敵だわ!」
「いや、モラレスさん。何を言うんですか」
「あらやだ。ヒルス君、照れてるの? 可愛いわぁ。誤魔化したって、アタシには男と女の気持ちが分かっちゃうんだから!」
「……」
あまりにも自信満々で、的確に言い当てられてしまうものだから、反論も何も出来ない。