サルビアの育てかた
「ヒルスの、言う通りだよ……」

 心臓が高まる俺の胸の中に顔を埋め、レイはしんみりしたように言葉を綴っていく。

「私が幸せなのは、家族のおかげ。今はもういなくなっちゃったお父さんとお母さんがたくさん愛情をくれた。シスターが遠い所でいつも私を想っていてくれたから嬉しい。それに、何よりも……」

 レイは一度、俺の顔をじっと見つめた。
 愛らしいその表情が、俺の身体の奥を刺激する。

「何よりも、あなたがいてくれる。何回言っても足りないくらいだよ。ヒルスのこと、凄く凄く大好きで、私の胸はいつも満たされているの」
「レ、レイ……」

 改めて愛の言葉を受け取った俺は、急に全身がカッと熱くなる。

 たまらず俺は彼女を強く抱き寄せ、唇で愛を伝える。静寂の中、俺とレイは溢れて止まることのない互いの想いを伝え合った。
 彼女とのキスは、いつも俺の感情を高める。このままレイのぬくもりに手を伸ばしたかった。

 でも──

 愛情表現をそこで止めると、俺は彼女の瞳をじっと見つめた。

「次のレイの誕生日、楽しみにしてる」
「……うん」

 俺のそんな一言に、レイの顔はほんのりピンク色に染まった。きっとこの時俺も、レイと同じような表情になっていたに違いない。
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