サルビアの育てかた
 数日後。新曲発表と共に、完成したPVが至るところで使われるようになった。テレビのコマーシャルだけでなく、動画サイトなどの広告でも流れ、SNSでも大きな話題を呼んだ。
 俺とレイを応援してくれるファンが瞬く間に増えていき、ダンススタジオには連日ファンレターや差し入れがとんでもない数が送られてくるようになった。
 外を出歩く時は、顔を隠さないと本当に大変なことになる。俺たちは、たとえ距離が短くても外出時は出来るだけ車やバイクに乗って移動するように心掛けた。

 こうなると、やはりいいことだけではない。知名度が上がれば上がるほど、マスコミは騒ぎを大きくしようとする。

 思い悩んでいたことは、思っていたよりも早く現実となった。俺とレイのことが、芸能ニュースを中心にネット記事や全国紙に大きく報じられた。俺たちの関係についてはもちろん、レイが元孤児だったことも。

 ──それに、レイが生みの親に酷い仕打ちをされたことも、事細かく全てが晒されてしまった。

 これを受け、テレビだけでなくネットニュースやSNSでも話題となり、あっという間に拡散されていく。
 もちろんその内容は、レイ本人の耳にも入ることになってしまった。

 結局俺は、どうすることも出来なかった。阻止するすべを見つけられなかった。
 レイの笑顔をどうしても守りたい。どうすれば、彼女の心のケアが出来るだろうか模索し続ける。

 これをきっかけに、俺たちの人生は更に波乱となっていくんだ。
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