サルビアの育てかた


 あれは、私が十八歳になった直後のことだった。
 マスコミによって、世間に私たちの事情が全て晒されてしまった。芸能記事に私と彼の関係が写真付きで公開され、私の生い立ちなども細かく掲載されていた。
 もちろんSNSなどで色々な声が上がった。一部批判をする人たちもいたけれど、それよりも応援してくれる声の方が大半だった。
 それにこうなるのは覚悟の上だったから、それほど深く傷ついたりはしなかった。

 ──そして、私が生みの親に虐待されていたことも、この時に初めて知ったの。
 もちろん、自分の過去を知った時はショックだった。私の体に残り続けるあの痕の意味も、やっと理解が出来た。

 でも私自身は何ひとつとして覚えていない。それくらいで落ち込んだりしない。
 私よりも私のことを心配してくれる彼の方が悩んでいたみたい。改めて愛されてるなぁって実感したんだよ。
 それくらい、私にとって辛い過去のことなんか、どうでもいい出来事に過ぎなかった。

 でも、予想外の出来事がひとつ。
 それは背後から迫りきていて、私は恐怖のどん底に陥れられた。
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