サルビアの育てかた
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彼女はどんなに心が傷ついていたとしても、仕事中は気持ちを切り換えていた。
今日はダンススタジオでPV用の写真撮影があり、レイは朝早くから気合いを入れているようだった。
(ダンス以外の仕事もあるから、結構大変だよな……)
遠目でレイを見守りながら、俺はつくづく思う。
ライブやイベントの時は存分に踊れるが、それ以外にこうした写真撮影やインタビューなんかの仕事が入ると一日中踊れないこともある。ダンスをメインに仕事がしたい俺にとって性に合わないと思うが、レイはむしろどんな仕事も楽しそうにこなしていた。
俺はそんな彼女を、心から尊敬している。
「レイちゃん、お疲れ様。素敵な写真がたくさん撮れたわね。今日はこれで終わりだから帰ってもいいわよ」
「ありがとうございます、モラレスさん。少し時間があるので、スタジオで踊ってから帰ります」
爽やかな笑顔でそう答えるレイだが、俺は少し心配だった。
「今日は朝から早かっただろう。少し休んだ方がいいんじゃないのか?」
「ううん、踊りたいの。気分転換に。好きな曲で、好きなだけね。……そうすれば、色んなことを忘れていられるから」
その言葉に、ハッとさせられた。
「……そうだな、それがいいな。俺の仕事が終わったら一緒に帰ろうか」
「うん、待ってる」
愛くるしい笑顔を彼女から向けられ、こんな時でさえ俺は胸がキュッとなってしまう。レイは俺を逐一ドキドキさせる魔法を唱えているに違いない。
俺が密かに頬を赤らめている中、レイはジャスティン先生に「練習場お借りします」
そう言ってその場を後にして行った。