サルビアの育てかた


 心強い仲間たちのお陰もあり、その後は何事もなく平穏な時が過ぎる。
 悪魔はあれから一度もレイの前には現れず、彼女の精神は少しばかり落ち着いてきた。思い出させないように、俺もみんなも一切あの話題に触れないようにしている。

 レイは、益々ダンサーとしての知名度が上がっていった。変装もせずに外を出歩こうものなら、すぐに誰かしらに声を掛けられてしまう。
 変わらずにモラレスは世界中のあちこちを飛び回って、アーティストとしての仕事をこなし続けている。イギリス国内でのライブツアーがなければ、レイは基本的にスタジオでの自主練習をした。

 だけど最近はそれだけじゃない。
 レイの知名度が上がるほど需要も高まっていき、企業などから仕事のオファーが来るようになったんだ。ダンサーとしてプロモーションに単独で出演し、ギャラをもらうなんてことがしばしば。
 ものすごい勢いで、レイは人気者になっていった。

 正直、彼女の身の上の事情に興味を持つ輩も少なからずいるが、彼女のダンスに魅了される人が大半なんだと思う。
 彼女の仕事は順調で、私生活も充実している。
 どんなことでも一生懸命に取り組む彼女を見て、俺は何があってもレイを応援し続けようと一層強く思う。

 日々彼女を想う気持ちは大きくなっている。これからも俺は、レイのそばにいて変わらずに彼女の支えになってみせる。
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