サルビアの育てかた
 ──二人きりで過ごす楽しい休日は、間もなく終わりを告げようとしていた。夕食は外で済ませ、帰宅したのは夜遅くになってからだった。

「もうこんな時間か……。レイ、先にシャワー浴びて早めに休めよ」

 鞄を下ろし伸びをしながら彼女に言うと、レイは俺の前にすっと立ち、裾を掴んでこちらを見上げてきた。口を開こうとしているようだが、レイはなかなか言葉を発しない。

「どうした、レイ」
「……あの」

 見る見る顔が赤くなるレイ。
 頭の中に色んな思考が巡り、俺の胸がドキドキと音を立て始める。

 彼女の髪の毛に優しく手を伸ばし、耳元でそっと囁いた。

「……一緒にシャワー、浴びるか?」

 その台詞を受けたレイは、パッと俺から離れて背を向けてしまう。

(あれ、違ったか?)

 いや、照れているのか。リアクションが可愛らしい。
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