サルビアの育てかた
 たまらず俺は、彼女の背中を全身で包み込む。

「俺はレイと入りたいけどな」
「……ヒルス」

 彼女が甘えてくる時、俺だけに聞かせてくれる愛らしい声。
 全身が急激に熱くなる。

「着替え、準備するか」
「う、うん……」

 レイはずっと前を向いている。表情は見えないが、真っ赤に染まった彼女の耳を見ればどんな顔になっているのかなんて想像するのも容易い。

 最近の俺は、自分の中の欲心と戦うのをすっかり諦めていた。むしろ好きなだけ彼女に愛情表現を向け、欲を満たしている。

 熱くなるレイの耳に俺がそっとキスをすると、彼女はやっとこちらに目を向けてくれた。

「待って、ヒルス」
「ごめん。早かったか……?」
「そうじゃなくて。くすぐったい」

 今までにないほど赤面している。
 俺はそんな彼女を腕からそっと解放した。
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