サルビアの育てかた
「──ジャスティン先生。夜分に申し訳ないです。来週三日間ほど一室だけスタジオの練習場をお借りすることは出来ますか? レイから聞いたんですけど、モラレスさんの新曲の為にダンスの打ち合わせがあるらしくて。……はい。そうですね。はい、ありがとうございます。それではレイに伝えておきます」
通話を切り、俺はすぐに車を出た。ジャスティン先生からの承諾も貰えたし、レイに報告してあげよう。
車内に放置されていたスマホをポケットにしまい、家に引き返そうと軽快なステップで歩みを進める。
しかしフラットの前に戻ると、俺はよく分からない違和感を覚え、思わず足を止めた。
俺たちの住むフラットの目の前に、見知らぬ女が立ち尽くしているんだ。じっと入口の方を眺めていて、全く動こうとする気配がない。完全にエントランスに続くドアの前を塞いでしまっている。
寒い時期にも関わらず、その女は半袖と短いスカートだけを身につけ、身体を左右に大きく揺らしていた。
俺は異常な雰囲気を感じながらも、ゆっくりと女のそばに近づいていき、そっと声をかける。
「あの、すみません。そこ、通ります」
女は返事もせずゆっくりこちらを振り向く。
虚ろな目で、一体どこを見ているのかさっぱり分からない。黒いボサボサの髪の毛のせいで顔の半分が隠れていて、とてつもないほど不気味な空気が漂ってきた。
アジア系か? 見かけない顔だ。
通話を切り、俺はすぐに車を出た。ジャスティン先生からの承諾も貰えたし、レイに報告してあげよう。
車内に放置されていたスマホをポケットにしまい、家に引き返そうと軽快なステップで歩みを進める。
しかしフラットの前に戻ると、俺はよく分からない違和感を覚え、思わず足を止めた。
俺たちの住むフラットの目の前に、見知らぬ女が立ち尽くしているんだ。じっと入口の方を眺めていて、全く動こうとする気配がない。完全にエントランスに続くドアの前を塞いでしまっている。
寒い時期にも関わらず、その女は半袖と短いスカートだけを身につけ、身体を左右に大きく揺らしていた。
俺は異常な雰囲気を感じながらも、ゆっくりと女のそばに近づいていき、そっと声をかける。
「あの、すみません。そこ、通ります」
女は返事もせずゆっくりこちらを振り向く。
虚ろな目で、一体どこを見ているのかさっぱり分からない。黒いボサボサの髪の毛のせいで顔の半分が隠れていて、とてつもないほど不気味な空気が漂ってきた。
アジア系か? 見かけない顔だ。