サルビアの育てかた
 優しく彼女の頬に手を重ね、フッと微笑みかける。

「すまん。嫌だったよな」
「うん……ちゃんと、お家でしよう?」
「ああ……そうだな」

 俺を真っ直ぐ見つめてくるレイの瞳は宝石みたいに美しい。いや、違う。それ以上に麗しいものなんだ。
 なぜそんなに清らかな目で俺を見てくれるのか。そんな風に眺められると、俺の心臓はいつまでも熱くなりっぱなしなんだよ。

 もう一度レイとキスを交わしてから、俺はゆっくりと彼女を自分の両腕から解放する。

「部屋へ戻ろう」
「……うん」

 俺は何があっても、レイのそばにいて彼女を支え続ける。今の幸せが崩れないように。彼女が苦しまないように。トラウマなんかに負けないように。
 彼女のことが大好きだから。愛しているから。世界で一番、大切な人で、たった一人の家族だから──

 父からの贈りものを大切に抱えながら、レイは嬉しそうに俺の隣で笑っている。
 元気に咲く『サルビア』の花を見つめ、俺は強く心の中で誓ったんだ。
 レイのこの笑顔を一生守り抜いていく、と。
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