サルビアの育てかた



 レイにプロポーズをするに当たって、ひとつ問題があった。

 ある日の早朝、スタジオの練習場で俺はストレッチをしながら意識がほぼ飛んだ状態で一人考え込んでいた。

(指輪はいつ買いに行けばいいんだろう)

 スタジオの行きも帰りも家にいる時でさえも、常にレイと一緒にいるんだ。自分一人でジュエリーショップに行くタイミングが全くないことに気づいてしまった。

(こういうのはサプライズの方がいいんだよな)

 帰った後に、用事があるからと言って少しの間レイに一人で留守番させるしかないか。
 いや、あの女の存在を思い出してしまうと、それは怖くて出来ない。万が一を考えてしまう。

(最悪、ネットで取り寄せて何とかするか。でもこんなに大切なものを、ネットで済ませるのは良くないよな……)

 考えても、全然答えが出ない。大きなため息が漏れる。
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