サルビアの育てかた
 周りに人がいないか、特にレイがいないかよく確認してから俺はモラレスさんと向き合う。

「……実は、レイの誕生日にプロポーズをしようと考えています」
「ええっ、本当にっ? おめでとう!」
「祝福の言葉は彼女からOKを貰うまで取っておいてください」
「何言ってるのよ。返事なんて決まっているじゃない」

 これ以上ないほどに、モラレスさんは明るい顔で歯茎を光らせる。
 俺も全く否定せず頷いた。
 断られる理由なんてない。自信がある。

(レイと結婚してからも俺たちは色んなことを乗り越えていって、運が良ければそのうち可愛い子供も生まれて、ずっと幸せに暮らしていくんだろうな。そういう楽しい未来しか考えられないよ)

 俺が妄想を膨らませていると、モラレスさんは肩を震わせながらまた嬉しそうに笑うんだ。

「なぁにヒルス君。あなたがニヤニヤしてるなんて。楽しそうねぇ」
「あっ、いえ。別に……」

 俺の隣に座り込み、モラレスさんは柔軟体操を始める。足を百八十度に開脚し、上半身もかなり柔らかい動きを見せている。
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