サルビアの育てかた
 俺は唖然とした。いい意味で、だ。
 俺とレイはただ純粋に、モラレスさんの踊る姿が好きだ。

 正直、なぜこの人のダンスを見て気分を悪くする奴がいるのか理解出来ない。そいつらはダンスではなく、この人に対する勝手な先入観や偏見を抱いているのではないか。

「あなたたちと踊ったあの日にね、あたしはこれからも自分らしくダンスを続けようと決心できたの。本当に、感謝しているわ」
「モラレスさん。俺たちは別に、感謝されるようなことは何も」
「ううん、感謝させて! だから、あなたたちが幸せになれるようお手伝いは何だってするから。必ず、レイちゃんの為に素敵な指輪を見つけてくるのよ」

 優しい目を向けながら、モラレスさんはそっと俺の肩に手を置くんだ。
 ──俺とレイが、誰かの心の支えになっていたなんて。
 嬉しくて、心の中がぐんと赤くなっていくのが分かった。
 俺は小さく頷き、そんなモラレスさんの優しさに素直に甘えることにした。
< 719 / 847 >

この作品をシェア

pagetop